【起業の経緯02】全体を捉えることで点が繋がる

最近わかってきたこと

少しずつ仕事の全容が見えるようになってくると、プロジェクトがうまくいかない原因や課題も見えてくる。

今や職場の業務課題を解消するためにツールを導入して業務を効率化したり自動化することは当たり前になってきている。ツールを使わない業務を探す方が難しいほどだ。たとえば業務にツールを導入する場合、業務チームとシステムチームが協力をしながらツールを開発し、運用していくことになる。だが、これがなかなかうまくいかない。まず、業務チームからこういうものを作って欲しいとシステムチームに要望をあげる。わかったとシステムチームが開発を進める。しばらく時間が経って、出来上がったツールを業務チームが確認すると、想定していたものと全く別物が仕上がっている、ということがある。これは現場でよく見るケースでチーム間のセクショナリズムに起因する。そこから間に人を立てたりして、お互いのイメージを改めて擦り合せながらなんとかツールを作りあげていく。

さあ、次は本番運用だ、と実業務にツールを適用する。初めはいろいろなエラーやトラブルが起こり四苦八苦しながら徐々に馴染ませていくのだが、そこもチーム一丸となって協力しながら一定の時間をかけて安定化させる。しばらく時間が経ってツールが安定して動く数ヶ月後には、実は同時並行で別の問題が忍び寄ってきている。それは「業務ナレッジの喪失」だ。どういうことか。

業務にツールを導入する前は、当たり前だが人が手と頭を動かしてさまざまな判断をしながら業務を行っていた。その過程で担当者の業務知識や経験が蓄積されて習熟していくことで業務生産性が高まっていく。しかしツールを導入する場合、その処理の手順や判断基準、業務ルールなどをツールの機能として埋め込んでいくことになる。ツールはその判断基準とルールでもって業務を自動で処理していく。しばらく使ってツールが安定して動くようになると、人はいちいちそのツールがどういう判断基準やルールで動いているかを考えなくなる。さらに時間が経てば、担当者も異動したり退職したりで入れ替わっていき、もはやそのツールを導入した背景や、判断基準やルールがどうなっているのか誰にもわからなくなる。こうして、これまで人が持っていた業務ナレッジはツールに吸い取られ、誰も触ることができないブラックボックスとしてそっとされていく。ツールの設計書など開発ドキュメントに書かれているではないか、と言う人もいるかもしれないが経験上、残念ながら現実はそうなっていない。

ゲシュタルト能力を使い倒す

今のは一例だが、さまざまなプロジェクトを経験していくと、こうした問題や課題が形や品を変え、どのプロジェクトでも同じように起きていることに気づく。こういった現場で発生しているひとつひとつの問題や課題の発生原因、背景などと時間をかけて向き合っていると、ある時、これは組織の共通課題なんだと理解できる瞬間が来る。目の前の具体的な事象を見て、「これはXXプロジェクトのXX業務で同様の課題が発生した。その時はこう対応して解決できた」というように、他の事例との共通項を見出し、紐付けて解決策を想像できるようになる。このような具体と抽象、部分と全体を行き来しながら考える力はゲシュタルト能力と呼ばれ、多くの仕事で使える能力である。ある分野でこのレベルに達すると、2年くらいは無双状態になる。

全体をどう捉えるか

次に重要になってくるのは、全体をどこに置くかである。プロジェクトを全体と捉えれば、他のプロジェクトとの比較などでパフォーマンスを発揮できるだろう。しかし、事業そのものを全体として捉えた場合はどうだろう、会社を全体として捉えたら・・と考えていくと、その全体に応じた課題が見えてくる。

当時、僕は会社を「全体」として捉え、それぞれの課題と向き合っていた。しかし、ある動画を見ていて大変興味深い考え方があることを知った。社会学である。参考までに動画のリンクを貼っておく。この対談は、コンサルタントとして有名な波頭亮氏と社会学者の宮台真司氏の対談で、「思想をRethinkせよ」という名の通り、ニーチェやマックスウェーバー、ハイデガーなどの思想の巨人達の考え方を紐解きながら現代社会を考えていく内容になっているが、これが大変おもしろい。30回は繰り返してみている。初めは何を言っているのかわからなかったが、調べながら繰り返し見ていると、少しずつ何をお二人が議論しているのかわかってくる。僕が特に興味を持ったのは、マックス・ウェーバーの「鉄の檻」という考え方。システムが安定して回れば回るほど、人はシステムに依存する。合理性の連鎖によって、人は人でなくなり、お互いを助け合おうとしなくなると。これは、これまで僕が業務の現場を見て感じていた課題感に近いなと。

社会学の観点で業務課題を眺める

このマックス・ウェーバーの図式を、実際に今仕事で直面している課題に当てはめて考えてみる。これが見事にマッチする。業務を効率化すればするほど、人は役割分担に囚われ協力姿勢が希薄になっていく。コミュニケーションもオンライン化が進み、日々の忙しそうな様子も、何気ない会話から感じる現場の緊張感も、表情から伝わる困っている様子も見えない。オンラインでもし相手が困っていたとしても、誰も声をかけない、助けようとしない。これまで組織として当たり前に行われてきた助け合いや協力が、効率化・合理化によって最近失われてきているような気がする。一方、効率化・合理化が進めば、企業としてはコストが下がり利益が上がるので、ハッピーになる。ここにジレンマがあるのだが、まだあまり気づかれていない。このジレンマを抱えながら進むその先に、明るい未来はあるのだろうか。人とシステムの融合に向けたまさに過渡期である昨今、こういった観点を持って現場課題の改善に取り組むことは、今後ますます重要になるだろう。

【ご参考】タグクラウド

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